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病気のインフォーム

犬猫の病気についての詳しい情報

タップをすると各病気についての詳しい情報をご覧になれます。

■内分泌系疾患
■循環器系疾患
■皮膚系疾患
■消化器系疾患
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■泌尿器系疾患

 

■中毒疾患

 

 

ミノキシジル中毒

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育毛用シャンプーには主成分に「ミノキシジル」が使用されているものが多数あります。この「ミノキシジル」が、実は犬猫では毒性の高い物質であることを知っていますか?

「ミノキシジル」は、元々は血圧を下げる「降圧剤」として開発された薬です。人用に開発されたため、人間では毒性は出にくいです。

しかし、犬猫では代謝の違いから毒性が強く出てしまいます。

ミノキシジルが含まれるシャンプー1滴でも(特に猫で)致死量になってしまうことがわかっています。

Kathy C. Tater, et al. Topical Minoxidil Exposures and Toxicoses in Dogs and Cats: 211 Cases (2001–2019)

急激な血圧低下によるショック症状で、生死に関わる中毒物質です。

犬猫に当該のシャンプーを使わないことは当たり前ですが、

1.シャンプーをしたあとの手を犬猫になめさせない

2.髪の毛をなめないようにする

3.シャンプーなどが犬猫の口の届かないところに置く

4.浴槽に犬猫が入らないようにする

これらの対策が大切です。

若いのに突然「フラツキ」などの症状が出て、心不全状態の場合にはミノキシジルが疑われます。その場合にはすぐに動物病院へ。可能であれば自宅にあるヘア用品の主成分を確認してみてくださいね。

抗がん剤感受性検査

「がん」の治療法

腫瘍疾患は年齢を増すごとに発生頻度が高まり、一説にはわんちゃんの1/2、ねこちゃんの1/3が腫瘍疾患で亡くなっていると言われています。特に悪さを示す腫瘍を「悪性腫瘍(通称「がん」)」と呼びます。がんが見つかったときの治療方法としては、メジャーのものでは以下のようなものがあります(マイナーな治療方法については記載を省略します)。

  • 外科的切除
  • 化学療法
  • 放射線療法

抗がん剤治療

化学療法で用いる薬のことを「抗がん剤」と呼びます。「抗がん剤」と聞くと、「副作用が強い」「効果がない」など、あまり良いイメージを持たれていない方が多いです。しかし、抗がん剤治療は「正しい診断」「正しい抗がん剤の種類の選択」「正しい用量の設定」「副作用に対する適切な対応」これらの点を守れば、実はそんなに怖いものではありません。

抗がん剤の種類

近年、動物医療は目覚しい発展を遂げています。今では「どの腫瘍にどの抗がん剤が効果が高いのか」という医学的根拠も多くなってきています。しかし、中には医学的エビデンスに基づいて選ばれた「効果があるはずの抗がん剤」を投与しても、効果が認められないということも少なく有りません。どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?別の例として、「細菌感染症」に対して使用される「抗生物質」を上げてみましょう。「抗生物質」とは、字のごとく「バイキンに対して殺菌作用を持つ薬」です。人医療では「この細菌にはこの抗生物質を選ぶ」というガイドラインが制定されています。ですが、「効くはずの薬が効果を示さない」、言い換えると、「薬に対して耐性を持っている細菌」=「薬剤耐性菌」というのが問題になっています。昨今のニュースで取り沙汰されている「院内感染症」の多くはこの薬剤耐性菌によるものです。「細菌」を「がん」、「抗生物質」を「抗がん剤」に言い換えれば、同じようなことが起こり得るのです。

「抗がん剤感受性検査」という新しい選択肢

効くはずの抗生物質が効かない、つまり、薬剤耐性菌の存在が疑われるときには、「薬剤感受性検査」をおこない、どの抗生剤が効果を示すのかを確認する検査が必要になります。実は、同じような検査が「がん」に対してもおこなえるようになっています。この検査は最先端の技術で腫瘍細胞を培養し、増幅させた腫瘍細胞に使用したい抗がん剤を投与することでその効果を推し量ります。

当院では「抗がん剤感受性検査」を受けることが可能です

専門の検査会社への外注検査にはなりますが、どの病院でもできるものではなく、特定の病院のみで受けることができる特殊な検査です。当院ではいち早くこの検査をおこなえるよう体制を整えて参りました。「がん」の種類によっては検査を行えない場合もありますので、まずは病院にお問い合わせください。

甲状腺機能亢進症

●甲状腺とは?

 甲状腺ホルモン(T4、FT4など)を分泌し、全身のあらゆる組織に作用し、その新陳代謝・働きをつかさどります。ホルモンの量は間脳視床下部によって監視され、厳密にコントロールされており、甲状腺ホルモンの増減に伴って、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌も増減します。健康な個体ではこれらのホルモンの分泌の波が正常な範囲内で維持されています。これらのホルモンのバランスが崩れると、様々な症状が引き起こされます。

 
●甲状腺機能亢進症とは?

 甲状腺機能亢進症は猫での発生がほとんどです。甲状腺ホルモンの分泌量が増加してしまうことで様々な症状を引き起こします。典型的な症状は次のとおりです。

  • 食欲増進
  • 体重減少
  • 興奮・過剰な吠え・攻撃行動
  • 散瞳
  • 呼吸困難(頻呼吸、開口呼吸)
  • 多飲多尿
  • 脱毛
  • 嘔吐・下痢

 7〜8歳の高齢猫の4〜5%、15歳以上の高齢猫で約9%が罹患していると言われています。その多くは甲状腺が腫瘍化することで起こります。

 

●診断方法は?

 血液検査による甲状腺ホルモン(T4、FT4)および脳下垂体ホルモン(TSH)の測定が必要です。甲状腺ホルモン(T4、FT4)が高く、脳下垂体ホルモン(TSH)が低い(正常の場合もあります)場合、甲状腺機能亢進症の確定診断が下ります。ただし、腎臓病がある場合には甲状腺ホルモンの尿中への排泄により、数値が低く出てしまうことがあるため(偽陰性)、数値だけでなく尿検査などの他の検査や臨床症状も含め、総合的な判断が必要です。

 

●治療法は?

 内服薬による内科的療法がメインとなります。薬の効き目には個体差があり、適切な薬用量を決定するために投薬開始後2週間後以降に再度甲状腺ホルモンの測定を行います。ホルモンの分泌量は病気の進行に伴い変化しますので、投与量の増量・減量を行うために定期的な甲状腺ホルモンの測定が必要です(通常6ヶ月毎)。

 飲み薬が難しい猫ちゃんの場合にはヨウ素を制限した食事療法を行う場合もあります。甲状腺機能亢進症に陥った猫は高血圧であることが多いため、腎血流量が増加しており、腎臓病が隠されてしまうことがあります。そのため、治療開始後に隠れていた腎臓病が見つかることが多く、治療開始後は定期的な腎臓病のチェックも必要です。甲状腺腫瘍性甲状腺機能亢進症は外科的切除が適応となります。

甲状腺機能低下症

 

●甲状腺とは?

 甲状腺ホルモン(T4、FT4など)を分泌し、全身のあらゆる組織に作用し、その新陳代謝・働きをつかさどります。ホルモンの量は間脳視床下部によって監視され、厳密にコントロールされており、甲状腺ホルモンの増減に伴って、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌も増減します。健康な個体ではこれらのホルモンの分泌の波が正常な範囲内で維持されています。これらのホルモンのバランスが崩れると、様々な症状が引き起こされます。

 

●甲状腺機能低下症とは?

 甲状腺機能低下症は犬での発生が多く、甲状腺ホルモンの分泌量が病的に低下してしまうことで様々な症状を引き起こします。代表的な症状は以下のとおりです。

  • 慢性皮膚炎(外耳道炎を含む)
  • 被毛の光沢減退
  • 脱毛、皮膚の色素沈着
  • 食欲不振
  • 肥満
  • 元気消失
  • 体温低下
  • 心疾患
  • 胆嚢・肝機能低下
  • 高脂血症
  • 神経障害(てんかん発作、虚脱)

副腎皮質機能亢進症と関連が強く、副腎皮質ホルモンの影響で二次的に甲状腺ホルモンが減少することがあります糖質コルチコイドが甲状腺ホルモンとTBP(甲状腺ホルモン結合タンパク質)との結合を阻害することで、甲状腺ホルモンの分解が促進されます。7歳以上の高齢犬に多く、年齢に伴って甲状腺ホルモンの分泌量は低下していきます。高齢になるほど甲状腺機能低下症の発生率は高くなります。甲状腺機能低下症の治療を行っているにも関わらず、治療効果が薄い、もしくは認められない場合には、副腎皮質機能亢進症が強く疑われます。これらの病気は症状が徐々に進行し、急変することも少なくありません。

 
●診断方法は?

 血液検査による甲状腺ホルモン(T4、FT4)および脳下垂体ホルモン(TSH)の測定が必要です。甲状腺ホルモン(T4、FT4)が低く、脳下垂体ホルモン(TSH)が高い場合、甲状腺機能低下症の確定診断が下ります。

 甲状腺ホルモン(T4、FT4)が低く、脳下垂体ホルモン(TSH)が低い・もしくは正常である場合、中枢性甲状腺機能低下症(ユーサロイドシック・シンドローム)という判断となり、また別の病気(副腎皮質機能亢進症など)の存在が強く疑われるため、その疾患の診断・治療を行います。

 副腎皮質ホルモンの過剰分泌またはステロイド製剤の投薬によって甲状腺ホルモンの分泌量が二次的に低下することがあります。

 

●治療法は?

 内服薬による内科的療法がメインとなります。薬の効き目には個体差があり、適切な薬用量を決定するために投薬開始後2週間後以降に再度甲状腺ホルモンの測定を行います。甲状腺がホルモンを作る能力を失っているため、内服薬は生涯投与となることがほとんどです。ホルモンの分泌量は病気の進行に伴い変化しますので、投与量の増量・減量を行うために定期的な甲状腺ホルモンの測定が必要です(通常6ヶ月毎)。

 

TSHFT4、T4すべてのホルモン分泌量が低下した状態をユーサロイドシック・シンドロームと呼び、全身状態の悪化を示唆しています。この場合、甲状腺の機能低下は二次的なものであり、原因疾患の特定、治療が必要となります。

 

糖尿病

●糖尿病とは?

 尿中に糖が出てしまうほど、血糖値が上昇してしまう病気です。通常、食事を食べると血糖値が上昇しますが、その後、正常値まで低下していきます。それは、膵臓にあるβ細胞から血糖値を下げるためのホルモン「インスリン」が分泌されるためです。血糖値が下がりすぎると、血糖値を上昇させるホルモンが分泌され、これらのバランスで血糖値が正常範囲に保たれます。
 「血糖値が高い」=「栄養分が豊富」と思われるかもしれませんが、インスリンの作用(血管の中から細胞の中へブドウ糖を移動させる)が弱っているので、血管の中にブドウ糖が多く存在し、細胞の中ではむしろ糖が不足している飢餓状態が起きているのです。特に、脳の栄養源はブドウ糖のみで、タンパク質などの他の栄養素をエネルギー源とすることはできません。飢餓状態に陥ると細胞は死んでしまうため、どうにかしてタンパク質や脂質からエネルギーを作ろうとがんばります。その過程で、好ましくない物質「ケトン」がどうしても生じてしまいます。ケトン体が異常に増えて血液が酸性になった状態を「ケトアシドーシス」と呼びます。
 また、ブドウ糖は細胞の栄養源ですが、過剰なブドウ糖は血液の異常な浸透圧上昇を引き起こすなど、毒性(高浸透圧高血糖症候群)を示します。高血糖状態が続くと、血管や神経がボロボロに障害され、全身に様々な症状を引き起こします。

●糖尿病の原因は?

 遺伝的要因、自己免疫疾患、無分別な食事、肥満、他の疾患からの二次性糖尿病(高脂血症、慢性膵炎、副腎皮質機能亢進症、先端巨大症、ストレスなど)により起こるとされていますが、犬猫の糖尿病の原因にはまだ不明なところが多いです。ヒトの糖尿病は「1型糖尿病」「2型糖尿病」などに大別されています。1型糖尿病ではインスリンを分泌するβ細胞が破壊されることでインスリンの欠乏状態になりますが、そのほとんどが自己免疫疾患によるものです。2型糖尿病は肥満などが原因でインスリンの作用が弱まったり、二次的にβ細胞が傷害されることでインスリンの量が減少し、インスリンの作用が弱まる状態(インスリン抵抗性)に陥ります。 猫の糖尿病の多くは人の2型糖尿病に近い病態であると言われています。犬は1型糖尿病が多いとされていましたが、近年では1型/2型どちらでもない糖尿病が多いと言われています。

●糖尿病の症状は?

 糖尿病の代表的な症状は以下のとおりです。糖尿病はさまざまな合併症を引き起こしますが、特徴的な症状は少なく、発見が遅れることも少なくないため注意が必要です。

  • 食欲増進(初期症状)
  • 食欲不振
  • 多飲多尿(正常な飲水量は一日50cc/kg以下)
  • 体重減少
  • 元気消失
  • 白内障などの眼疾患
  • 脱水症
  • 消化器症状(下痢・嘔吐)
  • 神経症状(フラツキ、ふるえ、起立困難など)
  • 低血糖発作
  • 昏睡
  • 感染症(皮膚病、歯周病など)
    など
  • 糖尿病の病態
●治療方法は?

 ケトン尿の排泄、神経症状、昏睡、低血糖発作などを起こしている場合、そのまま命を落とす可能性があるため、緊急入院による集中治療が必要となります。緊急状態を回避できたら、在宅治療を始めるための検査を行います。

◇集中療法
 まずは高くなりすぎている血糖値を正常値へ戻すことから始めます。ただし、急激に血糖値が下がりすぎると、血液の浸透圧(水を吸い寄せる力)が急速に落ちることで脳浮腫を引き起こす危険があります。そのため、インスリンの静脈内持続点滴を用いてゆっくりと血糖値を250㎎/dl付近まで下げます。また、インスリンは血糖値だけでなく、無機リンの低下(細胞内への取り込みを促進する作用)を引き起こすため、状況に応じて無機リンの添加もおこないます。基礎疾患のない糖尿病では、通常1~2日で正常血糖値まで下げることが可能ですが、逆に通常の手法で血糖値が減少しない場合、基礎疾患が存在する可能性を考慮し、適宜追加検査をおこないます。

 そのほか、合併症(感染症、肝機能不全など)に対する治療を同時並行で進めていきます。

◇食事療法
 血糖値の上昇が緩やかな食事(療法食)に変更し、規則正しい時間に食事を与えるようにします。合併症が起きている場合、それに適した療法食を与える場合もあります。後述するインスリン療法をおこなう上で、食事療法は非常に大事な要素となります。

◇インスリン療法
 インスリンを注射することで血糖値をコントロールします。同じところに打ち続けると皮膚が硬化する事があるため、打つ場所は適宜変えながらおこないます。インスリンの量が多すぎると低血糖に、少なすぎると高血糖になるため、インスリンの効き目の見極めが非常に重要になります。また、食べた食事の量とインスリンの量に注意をする必要があります。特に、食欲が無いときにはインスリンを打ってはいけません。

 インスリンの投与量を決定するために、まずは1週間ほど低用量のインスリン投与をおこない、体にインスリンを馴れさせます。その後、一日入院をして、食事の前後、インスリン投与前後からの血糖値を複数回測定することで血糖値の推移を確認します。その結果により、インスリンを投与するタイミング、量、種類、回数を決定します。コントロールが上手く行かない場合、インスリンの量などを変更して血糖曲線の作成を再度行います。

 インスリンの種類には様々ありますが、作用する時間の長さ、強さで特徴が分かれます。前述したとおり、血糖値は高すぎても、低すぎてもいけません。そのため、食後何時間に血糖値が最大になるのか、インスリンによって最も血糖値が下がるのが投与後何時間かを把握することは非常に大事です。糖尿病用の療法食は一般的に血糖値の上昇が緩やかであるため、血糖コントロールに適しています。

 重度の脱水、肥満、未去勢・未避妊による性ホルモンの分泌、副腎皮質機能亢進症、高脂血症、慢性膵炎などの炎症性疾患、ステロイド薬の投薬など、様々な要因でインスリンの効き目が弱まります(インスリン抵抗性の増加)。そのため、インスリン療法での血糖値のコントロールが困難である場合、その原因となる疾患に対しての治療(避妊手術を含む)を行うことも必要になります。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

●副腎とは?

 副腎とは、左右の腎臓の頭側寄りに1対存在する、皮質と髄質の二層から成る臓器です。皮質では副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイドなどのステロイドホルモン)、髄質ではカテコールアミン(アドレナリンなど)を産生しています。

●副腎皮質ホルモンとは?

 糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ホルモンの3種類のステロイドホルモンに分類されます。間脳の視床下部が血液の中のステロイドの量を常に監視しており、その分泌量を監視しています。副腎皮質ホルモンが減少すると、間脳視床下部のセンサーがそれを感知し、ホルモンの分泌を促すためのホルモン「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」の分泌量が増加します。ACTHが副腎を刺激することで、副腎からのステロイドホルモンの合成が促進されます。ステロイドホルモンが上昇しすぎると、逆にACTHが減って、その後、ステロイドホルモンの分泌量も減少します。

 以上のようなホルモンの分泌調整機能は「ネガティブ・フィードバック機構」と呼ばれており、副腎皮質ホルモン以外の様々なホルモンでも同様の調節機構が備わっています。

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●副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは?

 副腎皮質ホルモンの中でも、特に糖質コルチコイドの過剰分泌により引き起こされる病気を指します(クッシング症候群)。糖質コルチコイドは様々な組織、臓器に作用してしまうホルモンのため、様々な症状を引き起こします。そのため、「症候群」という名前がついています。

 クッシング症候群はステロイドホルモンの分泌量を調節する機構が何らかの原因で崩れることで生じますが、その多く(8〜9割)が中枢神経系の異常(下垂体腺腫など)や、(1〜2割)副腎皮質の異常(副腎皮質腫瘍など)で起こります。

 また、糖質コルチコイドは甲状腺ホルモンの働きを阻害することが知られており、二次的に甲状腺機能低下症を引き起こします。鉱質コルチコイドの過剰分泌で引き起こされる「高アルドステロン症」の発生は非常に稀です。好発犬種はトイプードル、ミニチュア・ダックスフント、ポメラニアン、シーズー、テリア腫です。

●症状は?
  • 多飲多尿(正常な飲水量は体重1kgあたりおおよそ50cc)
  • 腹部膨満
  • 慢性皮膚病(皮膚炎、左右対称脱毛、尾部の脱毛、表皮委縮、被毛粗造)
  • 食欲不振
  • 免疫力低下
  • 筋肉量低下
  • 肥満
  • 外耳炎
  • 元気消失
  • 嘔吐、下痢
  • 続発性膵炎
  • 続発性糖尿病
  • 続発性甲状腺機能低下症
  • 神経障害
  • 発作など
●診断方法は?

 確定診断には血液中の①内因性ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の濃度の測定②ACTH負荷試験による内因性ステロイドホルモンの測定③超音波検査による副腎の大きさの確認を行います。これらの結果を考慮し、総合的に診断を下します。ACTH負荷検査はクッシング症候群の診断方法としては最もポピュラーなもので、精度も高い検査ですが、ごく一部の症例では数値に異常が認められないケースもあります。その場合には、別法のホルモン検査(低用量デキサメサゾン試験)の実施、麻酔下でのCT検査やMRI検査、腹腔鏡下生検を行う場合もあります。副腎の大きさに左右差が激しく、ACTH濃度が正常の場合には、非ホルモン分泌性の副腎皮質腫瘍、もしくは副腎髄質の腫瘍(褐色細胞腫など)が疑われます。

 

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●治療方法は?

 クッシング症候群の9割を占める「下垂体性副腎皮質機能亢進症」の場合、外科的切除、放射線治療が選択肢に入りますが、脳外科、放射線治療は現実的に難しく、内用薬による治療が選ばれることがほとんどです。症例の多くはステロイドホルモンの合成を阻害する内用薬「トリロスタン」の生涯投与による支持療法が主体となります。

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 薬の効果には個体差があり、肝機能などの影響を受けるため、投薬開始2週間後以降に再度ホルモン測定を行い、薬用量の調整を行います。病気の進行とともにホルモンの分泌量は変化するため、約6ヵ月ごとの定期的な検査が必要です。また、肝機能低下が起きている場合にはそれに準じた治療を行います。

 セカンドオピニオンでは、本来カプセル剤である同薬剤を粉薬として中身を分包して処方されているケースが散見されます。しかし、この薬は非常に細かい粉状の薬で、粉を食事にふりかけたりして犬に与える方法は、人が誤って薬を吸入してしまうリスクがあり、とくに妊婦・胎児には悪影響を引き起こす危険性があります。そのため、当院では本薬剤の分包処方は原則としておこなっていません(整った設備でのカプセルへの詰替えて処方されている場合には安全です。中身を出さずにカプセルのままでお与えください)。

 副腎皮質の細胞を非可逆的に傷害する薬「ミトタン」を使用する方法もありますが、合併症の問題(高脂血症、医原性アジソンクリーゼによるショック死など)から、当院ではおすすめしていません。

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 副腎腫瘍が疑われる場合には外科的切除が第一選択となりますが、手術が不適応となる場合には、「ミトタン」を使用して副腎皮質を破壊する治療を行うか、「トリロスタン」による内科治療で緩和治療にて経過を見ていきます。しかし、病態は時間経過とともに進行していくため、効果は限定的です。

膵炎

●膵臓とは?

 膵臓は胃や小腸の隣にある臓器で、①消化酵素の合成・分泌機能、②インスリンやグルカゴンといった内分泌ホルモンによる血糖値のコントロールを主な働きとしている臓器です。

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●膵臓とは?

 膵臓は

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犬アトピー性皮膚炎

●犬アトピー性皮膚炎とは?

 犬アトピー性皮膚炎はアレルギーを起こしやすい体質や、皮膚のバリア機能が弱い犬に多く見られる痒みを伴う皮膚病です(学術的な定義は「遺伝的素因が関与する炎症と痒みを伴うアレルギー性皮膚疾患であり,環境性抗原に対する IgEが関与する特徴的な臨床症状を呈することが最も一般的である」とされています(国際的な CAD に関するタスクフォース(International Task Force on Canine Atopic Dermatitis) )
 生後6ヶ月〜3歳くらいの若い頃から症状が出始め、年齢を重ねるごとに痒みはひどくなる傾向にあります。犬の角質は人間の1/3ほどの厚さしかなく、とてもナイーブです。そのため、ちょっとした乾燥、刺激、ストレスで炎症を起こしてしまいます。特に室内棲息ダニやノミの唾液、花粉、マラセチア菌(酵母菌)などの環境中のアレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫反応によって炎症が起きやすいといわれていますが、アレルゲンの除去は難しいことが多く、痒みが落ち着くまでの治療が長期化することもあります。

 遺伝することが知られており、好発犬種は柴犬、フレンチブルドッグ、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなどです。もちろん、それ以外の犬種でも発症しないわけではありません。

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●症状は?

 通常は軽度の湿疹であることが多いです。アレルゲンが皮膚に付着をして炎症が起こると、本来約3週間で生まれ変わるはずの皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が、異常な早さで進むようになります。そうなると、急ごしらえで不揃いな皮膚が作られ、乾燥してフケっぽくなったり(乾性脂漏症)、場合によっては脂の分泌が過剰になってベタベタとした皮膚になります(湿性脂漏症)。一見、真逆のような症状に見えますが、元を辿れば皮膚のバリア機能が損なわれていることから起きているのです。皮膚バリアが破綻した状態が続くと、二次的にバイ菌が繁殖して、更に皮膚炎が悪化していきます。皮膚炎が慢性化すると皮膚が黒く変色していき(黒色沈着)、象の皮膚のように硬い状態(苔癬化)になってしまいます。苔癬化してしまった皮膚を元通りに戻すには適切な治療を長期で行うことが必要になります。
 同じようなことが皮膚だけではなく、耳の中でも起きます。耳も皮膚の一部ですので、同様の理由で外耳炎を引き起こします。実は、慢性外耳炎の犬の75%がアトピー性皮膚炎を発症していたこという報告もあります。

●治療方法は?

 アトピー性皮膚炎は遺伝が関与している体質的な問題のため、自然治癒は期待できませんし、年齢を減るごとに悪化していくため、生涯的なケアが必要になります。そのため、犬の体質と生活、飼い主様の生活を考慮した上で、生活に支障のないレベルまでかゆみを抑えてあげることが治療のメインとなります。許容できない痒みがあるとき、また皮膚炎がひどいときには、状況に応じて様々なアプローチから治療をおこないます。もちろん、皮膚病にならないように予防的なケアも大切です。

 薬物療法

 薬物療法は大きく分けて①内用薬、②外用薬治療に分けられます。

 ①内用薬には、ステロイド剤、免疫抑制剤、分子標的薬、抗ヒスタミン剤がよく選択されますが、皮膚の状態、かゆみの程度によって使い分けます。犬アトピー性皮膚炎ではステロイド(プレドニン錠)やオクラシチニブ(アポキル錠)の投与によって顕著に症状がおさまりますが、その多くは休薬すると再発します。特に、オクラシチニブは安全性が高く、副作用も比較的少ないので、長期投与となることが多いです。稀に肝臓へ負担がかかる場合がありますので、長期投与を行う場合には定期的な健康チェック必要です。また、食物アレルギーがある場合はステロイドなどの薬が著効しないこともあります。感染性皮膚炎が疑われる場合には抗生剤などの他の薬を併用します。かゆみが酷く、内用薬が難しい場合には1ヶ月間効果が持続するかゆみ止めの注射もあります。

 ②外用薬には、ステロイド剤、免疫抑制剤、保湿剤などを用いた治療があります。外耳炎を併発してしまっている場合には、積極的な外耳道洗浄、点耳薬の使用が必要です。嫌がって点耳薬がさせない場合には、1週間効果が持続する点耳薬も選択できます。また、内用薬を使用する場合もあります。
 皮膚炎、外耳炎どちらの場合も、外用薬の薬剤成分や基剤成分に対してもアレルギー反応を起こす場合もあります。外用薬での治療効果が思わしくない場合には、治療方法を変更することもあります。また、ノミアレルギーが疑われる場合にはノミ駆虫薬を治療として処置します。
 その他の治療としては、注射薬による治療として組換え犬インターフェロン-γ、減感作療法があり、これらは体質改善により症状を改善する方法です。

 シャンプー療法・入浴療法と保湿ケア

 シャンプー療法と保湿ケアは外部アレルゲンを取り除き、皮膚を保護するという意味から、非常に有用です。犬アトピー性皮膚炎におけるシャンプーの頻度は1週間に1回を目安にすることが国際的なガイドラインに示されています。しかし、シャンプーに含まれる界面活性剤が皮膚本来の脂までも洗い流してしまうと、かえって皮膚を痛めてしまうことがあります。そのため、使用するシャンプーはどれでもいいというわけではなく、低刺激性、かつ保湿成分が含まれている犬アトピー性皮膚炎対応のシャンプーを使用しましょう。
 低刺激のシャンプーを使用しても皮膚トラブルが出てしまう場合には、シャンプーの代わりに入浴療法をおこないます。炭酸泉、保湿浴、マイクロバブル浴などに入浴するだけで、シャンプーは使用しません。皮膚への負担は少ないものの、皮膚の温度が上がり、かゆみが悪化する可能性があるので注意が必要です。また、入浴後も必ず保湿処置をおこないましょう。
 シャンプーなどによる洗浄の後には必ず保湿ケアをおこないますが、保湿効果は日に日に落ちてしまうため、シャンプー以外の日でも積極的に保湿をしましょう。ダメージが深刻な肌には週2〜3回保湿ケアをおこなえるのが理想的です。
 湿性脂漏症を起こしたベタベタ状態のお肌にはガンコな脂が張り付いているため、使用するシャンプーには比較的洗浄力の強いものが必要です。ですが、その分、皮膚バリアにダメージを与えるリスクがあるため、注意が必要です。シャンプーのみでは脂が落ちにくい場合には、クレンジングオイルを使用します。バイ菌感染が疑われる場合には消毒作用のあるシャンプーも併用しますが、皮膚の状態を見ながら慎重に洗う必要があります。くどいようですが、保湿ケアは必ずおこないます。
 保湿剤にはいろいろなものがありますが、当院ではセラミドを配合した保湿剤の使用をおすすめしています。
 その他の成分として「尿素」が挙げられます。尿素は角質を柔らかくして水を含ませる性質があるため、慢性化して皮膚が分厚くゴワゴワになっている場合や、脂漏症を併発してベタベタのフケが多く出ている場合には有用です。しかし、犬アトピー性皮膚炎では角質のバリアが弱いことが多いため、かえってバリア機能を弱らせる可能性や、刺激が出る可能性があるため注意が必要です。
 シャンプー、保湿剤の選び方、ただしい使い方については、こちらをごらんください。

 栄養管理

 食物アレルギーがあるときは、原因の食物の除いたスキンケアフードを与えましょう。原因成分が入っていないものであれば、おやつを与えても大丈夫です。ただし、似た構造を持つ食品はアレルギー反応を起こし得る(交差反応)ので注意が必要です。必須脂肪酸やビタミンEをたくさん含んだ食事は角質層の皮膚バリア機能の回復や皮膚炎の緩和に有用です。パントテン酸、コリン、ニコチン酸アミド、ヒスチジン、イノシトールを配合した食事は皮膚のセラミド産生を増加させ、皮膚バリア機能の回復に貢献する可能性が示されています。これらの機能的な食事を皮膚強化食ともよび、犬アトピー性皮膚炎の治療の補助として活用することができます。

 保護

 皮膚を掻いてしまうと、物理的なダメージから更に痒みが悪化し、治療が困難になりますので、エリザベスカラーやスキンウェアなどで患部の保護をおこないます。外部アレルゲンが皮膚に付着しないようにするという意味でも、スキンウェアは有用です。

 環境改善

 犬アトピー性皮膚炎ではハウスダストマイトに反応する例が多いため、室内を定期的に清掃することが重要です。また、アレルゲンに曝露されやすい環境を避けることも検討しましょう。例えば、ハウスダストマイトにアレルギーがあるにもかかわらず、ヒトと同じ布団のなかで寝ている場合には、別に寝床を用意するといった対策が必要です。

 ストレスケア、皮膚マッサージ

 症状に季節性がある場合には症状が悪化する時期の前から準備します(例えば、植物に対して反応する症例では散歩コースの調整などを検討します。また、気温と湿度が低下する冬期には、洗浄法の緩和と保湿の強化などを行います。)
 どういったストレスが原因で皮膚が悪化するかは、個体それぞれで違います。そのため、どのようなタイミングでかゆみの悪化が認められるかを詳しく観察する必要があります。ストレス要因が特定できたら、なるべくそれを避けるような生活にしてあげましょう(例えば、不規則な睡眠やご家族とのアクティビティ(触れ合いや散歩など)の減少はストレス要因につながる可能性があります)。毛が抜けやすい犬種では、日々のブラッシングが非常に大切です。
 皮膚の乾燥がひどい場合には、シャンプーや入浴療法に加えて、日常的に皮膚マッサージしてあげましょう。皮膚の血流を改善し、皮脂や汗の分泌を促進されることで、皮膚環境の改善が期待できます。

●食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の違いは?

 アレルギーが関係する皮膚の病気として「食物アレルギー」が挙げられます。似ている部分もありますが、アトピー性皮膚炎とはまた別の病気で、好発部位も異なります。しかし、両方の病気を併発することも少なくありません。犬のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを鑑別するための特徴として、症状の季節的変動と副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド剤)による治療反応が挙げられます。
 アトピー性皮膚炎は環境抗原に対するアレルギー反応が原因で起こります。そのため、植物抗原など季節による変化が認められる抗原に反応することが多く、症状の季節的な変動を認める場合が多いとされています。花粉症を思い出して頂くと理解しやすいかと思います。花粉症は『スギ花粉』によるアレルギー反応により引き起こされるので、季節的変動がある病気と言えます。ただし、ハウスダストなどと言った室内に存在するアレルゲンに対して症状が出ている場合には、年中痒みが出ることもあるため、「季節性がない痒み=食物アレルギー」とは言い切れません。
 一方、食物アレルギーでは日常的に給餌される食事中に含まれるタンパク質や炭水化物に対する反応が主体のため、通年性の症状を示す場合が多いとされています。しかし、犬のアトピー性皮膚炎では発症初期に症状の季節的な変動が認められるものの、年を重ねていくたびに徐々に通年性へと変化していくことも少なくないため注意が必要です。この現象は、反応する抗原の種類が年とともに増加していくことが原因だと考えられています。花粉症に置き換えてみると、スギ花粉だけに反応していたのに、ヒノキ花粉やブタクサにも反応するようになってしまったというのと同じ考え方となります。

 ステロイド剤に対する反応ですが、アトピー性皮膚炎の犬は良好な治療反応(かゆみの軽減)を示す一方、食物アレルギーの犬では反応が乏しいとされています。この違いは両者を鑑別するために重要となります。しかし、2つの皮膚病を併発する犬が多いことを常に考える必要があります。ステロイド剤を使用してもかゆみが完全になくならない場合には食物アレルギーの存在も疑います(勿論、他の皮膚病の可能性もあります)。
↓犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの症状が出やすい部位の比較
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●薬物療法によく使われる薬について

・ステロイド(プレドニゾロン、プレドニン)
 「ステロイド剤」には様々な種類がありますが、一般的には「糖質コルチコイド」と呼ばれるステロイドを指します。ステロイドには抗ストレス作用があり、別名「ストレスホルモン」とも呼ばれますが、健康な体内でもステロイドは作られています(内因性ステロイド)。プレドニゾロンは即効性があり、炎症が起きるメカニズムの様々なポイントに作用するため、かゆみ止め、消炎剤としてとても有用です。通常、経口投与してから4時間程度でかゆみの緩和が始まります。注意点として、高用量もしくは長期のステロイド投与は免疫抑制作用を発現したり、内因性のステロイドの合成を抑制する危険性がある点です(治療の一環としてあえて高用量で使用することもあります)。そのほか、糖尿病、膵炎、胃腸障害、肝障害、筋力低下、電解質異常、過食、多飲多尿、パンティング、脱毛、皮膚の傷が治りにくくなる、感染症(免疫抑制状態)などのリスクがあるため、定期的に健康状態をモニターしながら使用することが推奨されます。様々な副作用がありますが、その多くは長期間または高用量で使用した場合にみられるものがほとんどです。剤型として、飲み薬、塗り薬、注射などがあります。

・シクロスポリン(アトピカ、シクロスポリン、シクロキャップ、シクラバンスなど)
 アトピー性皮膚炎など、特にアレルギー性の皮膚病で悪さをする細胞(リンパ球)の活動を抑える薬です。
かゆみを緩和する力はステロイドに匹敵しますが、即効性はありません。投与してから3〜4週間で効果を実感する場合が多いとされます。リンパ球は免疫反応の中心的な役割を果たすため、この細胞を抑えるシクロスポリンは免疫抑制効果を併せ持っています。一方で、ステロイドのように様々な細胞や炎症の反応を抑えるわけではないので、副作用はステロイドよりも軽い傾向があります。

 代表的な副作用としては、胃腸障害(下痢や嘔吐)、歯肉が盛り上がる(猫)、イボの発生、感染症(免疫抑制状態)などが挙げられます。下痢や嘔吐は一時的な事が多く、その多くは1週間程度で落ち着きます。症状がひどい場合には吐気どめや下痢止めを使用することもあります。投与にあたっては、定期的な健康状態のモニタリングが推奨されます。シクロスポリンは犬・猫で使用され、飲み薬(カプセル、シロップ)のみとなります。経験的に、ジェネリック医薬品は先発品に比べ効果が2割程度弱い印象があります。
 
・オクラシチニブ(アポキル)
 犬アトピー性皮膚炎のために作られた分子標的薬で、皮膚で生じるかゆみや炎症反応を生じる物質(サイトカイン)の伝達を特異的にブロックする薬です。かゆみを緩和する力はステロイドやシクロスポリンと同等で、即効性もあります。抗炎症作用や免疫抑制作用は有しますが、長期的な投与においても比較的安全性が高い薬です。通常、投薬開始2週間は1日2回(朝・晩)で投与し、3週目からは1日1回に減薬します。4ヶ月間投与したら、一度休薬し、かゆみの再発がないかの確認をおこなうことが理想とされていますが、多くの場合が再燃します。

 ほとんど発生はありませんが、代表的な副作用には胃腸障害、尿のトラブル、感染症(免疫抑制状態)などが挙げられます。投与にあたっては、定期的な健康状態のモニタリングが推奨されます。オクラシチニブは犬でのみ認可されていて、飲み薬のみとなります。ジェネリック医薬品はまだ出ていません。

・抗ヒスタミン剤
 花粉症によく使われる薬で、一般的に、ステロイドやオクラシチニブなどと比べると痒みを止める作用は弱いです。かゆみの原因であるヒスタミン受容体をブロックすることでかゆみを予防、抑制する作用があります。あくまで予防する目的で使用することが多く、重症例で、すでに激しく痒みが出ている場合には効果は期待できず、ステロイド剤の併用が必要となることが多いです。効果が出るまでに1〜2ヶ月ほどの期間を要することも少なくありません。副作用が少ないため、長期投与も可能です。飲み薬、注射などがあります。

・ロキメトマブ(サイトポイント)
 一回の注射で1ヶ月間かゆみを止めることができる犬アトピー性皮膚炎専用薬剤です。犬アトピー性皮膚炎の6〜7割の症例で痒みが軽減されますが、残り3〜4割では効果が乏しいことがあります。これは、犬アトピー性皮膚炎で生じるかゆみの中でも、痒みが生じるメカニズムの違いが存在することによるもので、ロキメトマブはかゆみの発生に関与するインターロイキン31という物質のみを特異的にブロックすることで痒みを直に止めてくれます。そのため、食物アレルギーには効果は乏しいとされています。1月1回を1クールとして、4クール続けます。その後、かゆみの度合いにより1〜2月に一回の投与に減らしていきます。ジェネリック医薬品は存在しません。

(1)Olivry T. et al. : The ACVD task force on canine atopic dermatitis : forewords and lexicon. Vet. Immunol. Immuno- pathol., 81, 143-146, 2001.
(2)Griffin, C.E. and DeBoer, D.J. : The ACVD task force on canine atopic dermatitis (XIV) : Clinical manifestations of canine atopic dermatitis. Vet. Immunol. Immunopathol., 81 : 255-269, 2001. 

(3)Age of Onset and Clinical Signs in Canine Atopic Dermatitis Nobuaki ARAI, Shiho USUI and Yuzo KOKETSU 獣医疫学雑誌 16( 2)126―134.2012

 

僧帽弁閉鎖不全症

●僧帽弁とは?

 心臓は左右上下の計4つの部屋に分かれています。僧帽弁は、左側の上下の部屋(左心房・左心室)を隔てている弁で、別名「二尖弁」とも言います。通常、血液は左心房(左上の部屋)から左心室(左下の部屋)へと一方的に流れ、逆の方向には絶対に流れません。それは、僧帽弁が左心室から左心房への血液の逆流を防ぐ働きをしているからです。

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●僧帽弁閉鎖不全症とは?

 僧帽弁が機能不全に陥る、犬で最も多い心臓病です。弁が正しく閉まらないことによって血液の流れが妨げられ、左心室から左心房への血液の逆流、左心房への血液の滞留が起こり、血液を全身に送り出すことが困難となります。そうすると、心臓が大きく腫れ上がり、気管の圧迫、肺への血液の貯留、低血圧など、周りの臓器に影響を及ぼして様々な症状を引き起こします。

 弁が反転しないように心室側へと弁を引っ張る「腱索」と呼ばれる腱が存在しますが、この腱が断裂すると心臓の機能が顕著に低下し、症状が急速に悪化します。弁膜症の原因として遺伝病、弁膜粘液腫様変性(MMVD)などが指摘されていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。心臓が血液をうまく送り出せないと、心拍数を上げて代償しようとします。このとき、まだ目に見える臨床症状はありません。さらに血液循環が悪くなると、末梢臓器の腎臓への血流が滞り、急性腎障害を引き起こすことがあります。心雑音など、心臓の悲鳴に気づいてあげることが、早期治療のカギとなります。心臓病は10歳を越えると、全疾患に対する割合が10%、12歳以上で30%を越えます。数ある心臓病の中でも、僧帽弁閉鎖不全症は一番多い疾患です。

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●診断方法は?

  気づかれることの多い臨床症状は「咳」や「努力性呼吸(何もしていないのにハァハァする)」です。聴診による心雑音の確認が一般的ですが、心雑音の程度の酷さは、必ずしも心臓病の重症度に比例しません。心雑音がごく軽度であっても、何らかの原因で腱索が断裂すると、急速に症状が悪化します。そのため、正確に心臓病の病態を評価するには、聴診、レントゲン検査、血圧測定、心電図、超音波検査など複数の検査方法を用い、多角的に心臓の構造・弁の状態・血流の異常・血圧の異常の確認を行い、総合的に評価することが必要です(同時にすべての検査を行うことが困難な場合、一部の検査のみを行う場合もあります)。犬の弁膜症の検査基準、病気ステージング、治療方法については米国獣医内科学会(ACVIM)によってガイドラインが策定されており、日本の多くの動物病院でそれに準じた治療が行われています。

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●治療方法は?

  心臓への負担を減らす内科的治療が基本となります。臨床症状が軽度である場合、必ずしも投薬の必要はありませんが、レントゲンや血圧測定、超音波検査の結果によっては投薬を始める必要がある場合があります。早い段階から心臓の負担を抑えるお薬を始めることで、心臓病の悪化を遅らせ、平均余命を延ばすことが可能になります。多くの心臓病は徐々に心臓の形・構造の変形が進行していくため、完治を目指す場合にはバチスタ手術のような外科手術が必要です。しかし、心臓外科手術は高額な医療費がかかるため、内科療法が選ばれることがほとんどです。強く希望される場合には、循環器専門の二次診療動物病院へのご紹介が可能です。

 内科療法は①心臓の負担を減らす、②生理的な心機能を薬の力で補助してあげる、この2つがメインの目的となります。そのため、病気の進行を完全に止めることはできません。臨床症状、心臓の状態で使用する薬の種類、量は適宜変わります。病気が進行するにつれて薬の効き目にも変化が生じるため、定期的(3〜6ヶ月毎)な心臓のチェック(心雑音、心臓のサイズ、血流の速度、血圧、心臓の収縮力、心電図検査など)が必要です。

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胆泥症、胆嚢粘液嚢腫、胆石症

●胆嚢(たんのう)とは?

 胆嚢とは、肝臓の一部にくっついて存在している緑色の水風船状の臓器です。肝臓や十二指腸、膵臓と隣接しています。本来、胆嚢には肝臓で作られた「胆汁(たんじゅう)」と呼ばれる脂肪を分解するための消化酵素や老廃物が貯留されており、その液はサラサラとした性状をしています。胆汁は肝臓で合成され、胆嚢で貯蔵されます。胆嚢の出口は十二指腸につながっており、脂を含んだ消化物が流れてくると、胆汁の分泌が促進され、脂の分解が進みやすくなります。
 では、なぜ、肝臓で合成された胆汁は、肝臓ではなくわざわざ胆嚢で貯蔵しているのでしょうか?それは、体を作る細胞の構造をみてみるとわかります。
 動物の細胞は細胞膜という「脂の膜」で覆われています。脂を分解する酵素を持ち続けるということは、つまり、自分自身を溶かしてしまう危険性を伴っているのです。肝臓には様々な働きがあり、数多くの酵素を日々合成、分泌しています。もし、胆汁が肝臓の貯められていたらどうなるでしょうか?何かの弾みに漏れ出てしまったとすると、様々な物質が細胞から漏れ出し、大変な事態を引き起こすことが容易に想像できます。その危険性を避けるため、胆汁をためるための専用の臓器が作られたと考えられています。実際、胆嚢の袋は薄いですが、触ってみると、他の臓器にはない硬さがあります。これは、胆汁で溶かされることのないように、特殊な構造をしているためです。
<<写真1>>

●胆泥症とは?

 胆汁と一緒に、体の中で生じた老廃物が腸の中に排泄され、うんちとなります。胆汁の分泌能力が低下したり、老廃物の量が多かったりすると、この汁がどんどん濃縮されていき、いわゆる「胆泥(たんでい)」となり溜まっていきます。胆泥が溜まるだけでは、消化器症状(下痢・嘔吐)などの臨床症状が出ることは稀です。しかし、細菌感染や胆泥の摩擦による物理的なダメージから、胆嚢炎を引き起こす可能性があります。胆嚢炎では腹痛や発熱、食欲不振などの症状が認められます。
<<写真2>>

●胆嚢粘液嚢腫とは?

 胆泥が時間経過とともに更に濃くなっていくと、胆嚢の辺縁部に粘液成分である「ムチン」が付着し、中央に粘度状の胆泥が集積して胆嚢粘液嚢腫という特殊な状態となります。この状態では下痢や嘔吐といった消化器症状が見られることがあります。濃くなった胆泥は刺激性が強く、胆嚢に穴が開く危険性があります。また、胆管が閉塞する可能性が高いため、破裂する前に早急な胆嚢摘出手術が必要となります。臨床症状が認めらないうちは内科療法に反応することもあります。
<<写真3>>

●胆石症とは?

 胆泥は最終的にカチカチに固まった「胆石」になってしまいます。胆石症に陥った胆嚢の壁は非常に脆く、いつ破裂してもおかしくない危機的状態です。内科的治療による良化は不可能で、手術による早急な胆嚢摘出が必要です。胆石症の症例の多くは胆嚢炎を併発しており、胆嚢が破裂した場合には炎症によるショック、腹膜炎、細菌感染などにより急激に全身状態が悪化します。代表的な症状は下痢や嘔吐といった消化器症状がメインとなりますが、胆嚢の状態によっては腹痛、黄疸症状が出る場合もあります。
<<写真4>>

●胆泥の原因は?

 胆泥症は高齢犬では決して珍しくない病気です。胆汁の主成分である胆汁酸はコレステロールやビリルビンの代謝によって作られます。また、人間の胆泥と違いカルシウム化合物も多く含まれます。高齢や甲状腺機能低下症による基礎代謝が低下、脂質代謝異常、ホルモン疾患、肝臓疾患、肥満体質などが原因で胆泥が溜まりやすくなります。

●診断方法は?

 超音波検査が有用です。解剖学的な位置の理由により、胃が影になることがあるため、検査時は絶食であることが望ましいです。また、超音波検査機器の特性上、被毛が濃いときには検査に影響が出ることがあるため、一部の毛を刈る場合もあります。胆嚢疾患では血液検査で一部の肝酵素の数値が上がりやすいですが、そうでない場合もあります。定期健康診断時の血液検査の際に、肝酵素(ALP、γGTPなど)の上昇で偶発的に見つかることが多いです。肝酵素の上昇が認められた場合には、絶食での血液再検査(一部の肝酵素は食後に軽度上昇することが知られています)、超音波検査にて胆嚢、肝臓の状態の確認を行います。また、胆管閉塞を起こしている症例では胆石が胆管の遠位部に移動していることがあり、胆管閉塞(胆石や胆泥による胆管の閉塞)が強く疑われる場合には、超音波検査だけではなく、レントゲン検査、もしくはCT検査にて胆石の場所を確認することもあります。

<<写真5>>
<<CT画像>>

●診断方法は?

 胆石になってしまう前に胆泥を溶かす内科治療が基本となります。内科治療では肝庇護(かんひご)剤や利胆(りたん)剤、排泄促進、肝機能改善薬、肝保護用サプリメント、低脂肪食の給餌を使用します。甲状腺機能低下症などの基礎疾患がある場合にはそれに準じた治療を行います。また、胆嚢が感染による胆嚢炎を起こしている場合、感染に対する治療が必要となります。食欲廃絶、嘔吐、下痢、腹痛、黄疸などの臨床症状を示している場合には外科的な胆嚢の摘出手術が第一選択となります。

 

 

フィラリア症(犬糸状虫症)

●フィラリア症って?

フィラリア(犬糸状虫)は、蚊が媒介する寄生虫です。

ワンちゃんの体に侵入したフィラリア(3期幼虫と呼ばれます)はワンちゃんの体内を動き回り、何ヶ月を経て成長しながら心臓に移動し、最終的に心臓(特に右心室から肺動脈)に寄生し、親虫となります。そこで子虫を産むと、生まれた子虫(1期幼虫)は血液と一緒に全身を流れて、蚊に吸われるのを待ちます。そこに運良く(悪く)蚊があらわれて、血液と一緒にフィラリアの子虫を吸っていき、その蚊が他の犬の血を吸ったときに蚊の唾液と一緒に感染していないワンちゃんの体の中に侵入して感染が成立してしまいます。
以上がフィラリアの「生活環」と呼ばれるものです。

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●フィラリア検査を毎年やらなければならない理由

 皆さんは毎年4月~5月頃になると動物病院で血液検査を行っていると思いますが、これは前年の予防を免れて感染したフィラリアの子虫が血液中に出て来るのを検出しているんですね。不思議なことにフィラリアの子虫がこうした血液中に出現するのには時間的偏りがある事がわかっています。つまりこの方法だけでは取りこぼしが出る場合がしばしばあるのです(通称「オカルト感染」:親虫のみが感染し、仔虫の感染が認められない状態)。

 そこで登場するのが、フィラリアの親虫がだす虫体成分(抗原物質)を検出する検査キットを利用する検査方法です。この親虫の抗原物質を調べる方法は、直接フィラリアの子虫を検出する検査より検出精度が高くなります。ちなみに当院ではすべてフィラリア検査にて、子虫の検出検査と、抗原検査キットの検査を併用し、より完全で確実な予防を心掛けています。

「去年きちんと予防薬を飲ませたから検査をしなくてもいい」という飼い主さんがたまにいらっしゃいますが、薬というのは完璧ではありません。ですから完璧な予防というのは存在しないのです。それにある家庭では飼い主さんが飲ませたとばっかり思っていたのに、口の中に隠していて後で吐き出してしまって、フィラリアに感染してしまったというケースもあります。また、海外ではフィラリアの駆虫薬が効かないフィラリア症も報告されています。ですから、きちんと予防していても毎年フィラリアの予防を始める前に必ず検査はしなければいけません。もしフィラリアに感染しているワンちゃんにフィラリア予防薬を飲ませると、ショックを起こし、ひどいときには死亡する場合もあります。

 

●フィラリア症はヒトにも感染を起こす人獣共通感染症

「高齢だから予防しなくていいや」と言われる方がたまにいらっしゃいますが、人への感染を予防するためにも、年齢に関わらずしっかりと駆虫しましょう。ヒトに感染すると、象のように手足が腫れ上がる重度の炎症を引き起こします。

●子犬が初年度のみフィラリア検査をしなくて良い理由

当院では11月以降に生まれた子犬ちゃんであれば、翌年のフィラリア検査を免除し、お薬を処方しています。これは、前年度に蚊に刺されたリスクが限り無く少なく、検査無しで投薬しても安全だからです。もちろん、2年目以降はそうはいきません。しっかりと検査を受けさせてあげてくださいね。

フィラリア予防の季節

フィラリアの予防薬はいろいろなメーカーからいろいろな予防薬が出ています。錠剤や粉薬、食べやすいジャーキータイプ、背中に垂らすだけの滴下タイプ、一年に一回の注射剤など様々な剤形がある他、回虫などの寄生虫も駆虫できるもの、ノミ予防も一緒にできるものなどもあります。どのフィラリア予防薬を使うかは各動物病院でそれぞれ決めて使用していることと思いますので、薬に関する詳しいことは各動物病院にご相談下さい。

いずれにせよ、皆さんのワンちゃんが今年もフィラリアの魔の手から確実に逃れられるよう、忘れずしっかり予防をしてあげてください。

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慢性腎臓病、急性腎臓病

●腎臓とは?

 通常、腎臓は左右一対で存在します。メインの働きは尿を作ることで、体内の代謝物、毒素などを体外へ排泄する機能があります。また、体内の水分量や電解質成分、pH、血圧の調節、赤血球の分化など、様々な場面で重要な役割を担っています。

●急性腎臓病とは?

何らかの原因により急速に腎臓組織が傷害され、腎臓の機能が落ちている状態です。その代表的な原因と症状は以下のとおりです。

●慢性腎臓病とは?

 何らかの原因により徐々に腎臓の組織が傷害され、3ヶ月以上の不可逆的な機能低下が続いた状態です。犬では初期病態として全身性高血圧、蛋白尿が現れます。猫では初期病態として尿細管の障害が起き、正常より薄い尿が出始めます。猫は目に見える初期症状は出にくく、症状が出た際にはすでに腎臓病が進行してしまっていることがほとんどです。神経 症状を呈するほど進行した腎臓病は「尿毒症」と  呼ばれ、緊急治療が必要となります。糸球体性蛋白尿、全身性高血圧、尿路感染症、高リン血症、貧血、低張尿・等張尿の排泄などは慢性腎臓病を進行させる悪化要因となるため、発見された場合には早期に治療が必要となります。持続的な高リン血症は二次性上皮小体機能亢進症を引き起こします。慢性腎臓病の代表的な原因と症状は以下のとおりです。

●診断方法は?

 血液検査、尿検査が有用です。血液検査は絶食状態で測定することが理想的です。尿検査は朝一番の排尿で得られた尿で行われることが理想です。慢性腎臓病は病態によってステージングが分けられています。

 

 

●急性腎臓病の治療法は?

腎臓を傷害している原因を取り除き、腎臓の機能を回復させることが基本となります(病態により 治療方法は異なります)。

・静脈点滴による体循環の改善

・尿毒素の排泄促進

・リン吸着剤、及び乳酸菌製剤の投与

・嘔吐などの諸症状に対する対症療法

・下部尿路疾患がある場合にはそれに対する治療

など

●慢性腎臓病の治療法は?

慢性腎臓病の進行は不可逆的なものであり、原則として腎臓組織を再生、完治させることは不可能です。体内に溜まった尿毒素を排泄し、残存した腎臓組織の機能を維持していくこと、諸症状の改善を目的に対症療法を行うことが原則となります。(病態により治療方法は異なります)。

・水分摂取量増量

・低たんぱく食(腎臓食)の給餌

・リン吸着剤、及び乳酸菌製剤の投与

・血管拡張薬による腎血流量の改善

・食欲不振などの諸症状に対する対症療法

・輸液療法による体循環の改善、尿毒素の排泄促進

・腹膜透析

など