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病気のインフォーム

フィラリア症(犬糸状虫症)

●フィラリア症って?

フィラリア(犬糸状虫)は、蚊が媒介する寄生虫です。

ワンちゃんの体に侵入したフィラリア(3期幼虫と呼ばれます)はワンちゃんの体内を動き回り、何ヶ月を経て成長しながら心臓に移動し、最終的に心臓(特に右心室から肺動脈)に寄生し、親虫となります。そこで子虫を産むと、生まれた子虫(1期幼虫)は血液と一緒に全身を流れて、蚊に吸われるのを待ちます。そこに運良く(悪く)蚊があらわれて、血液と一緒にフィラリアの子虫を吸っていき、その蚊が他の犬の血を吸ったときに蚊の唾液と一緒に感染していないワンちゃんの体の中に侵入して感染が成立してしまいます。
以上がフィラリアの「生活環」と呼ばれるものです。

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●フィラリア検査を毎年やらなければならない理由

 皆さんは毎年4月~5月頃になると動物病院で血液検査を行っていると思いますが、これは前年の予防を免れて感染したフィラリアの子虫が血液中に出て来るのを検出しているんですね。不思議なことにフィラリアの子虫がこうした血液中に出現するのには時間的偏りがある事がわかっています。つまりこの方法だけでは取りこぼしが出る場合がしばしばあるのです(通称「オカルト感染」:親虫のみが感染し、仔虫の感染が認められない状態)。

 そこで登場するのが、フィラリアの親虫がだす虫体成分(抗原物質)を検出する検査キットを利用する検査方法です。この親虫の抗原物質を調べる方法は、直接フィラリアの子虫を検出する検査より検出精度が高くなります。ちなみに当院ではすべてフィラリア検査にて、子虫の検出検査と、抗原検査キットの検査を併用し、より完全で確実な予防を心掛けています。

「去年きちんと予防薬を飲ませたから検査をしなくてもいい」という飼い主さんがたまにいらっしゃいますが、薬というのは完璧ではありません。ですから完璧な予防というのは存在しないのです。それにある家庭では飼い主さんが飲ませたとばっかり思っていたのに、口の中に隠していて後で吐き出してしまって、フィラリアに感染してしまったというケースもあります。また、海外ではフィラリアの駆虫薬が効かないフィラリア症も報告されています。ですから、きちんと予防していても毎年フィラリアの予防を始める前に必ず検査はしなければいけません。もしフィラリアに感染しているワンちゃんにフィラリア予防薬を飲ませると、ショックを起こし、ひどいときには死亡する場合もあります。

 

●フィラリア症はヒトにも感染を起こす人獣共通感染症

「高齢だから予防しなくていいや」と言われる方がたまにいらっしゃいますが、人への感染を予防するためにも、年齢に関わらずしっかりと駆虫しましょう。ヒトに感染すると、象のように手足が腫れ上がる重度の炎症を引き起こします。

●子犬が初年度のみフィラリア検査をしなくて良い理由

当院では11月以降に生まれた子犬ちゃんであれば、翌年のフィラリア検査を免除し、お薬を処方しています。これは、前年度に蚊に刺されたリスクが限り無く少なく、検査無しで投薬しても安全だからです。もちろん、2年目以降はそうはいきません。しっかりと検査を受けさせてあげてくださいね。

フィラリア予防の季節

フィラリアの予防薬はいろいろなメーカーからいろいろな予防薬が出ています。錠剤や粉薬、食べやすいジャーキータイプ、背中に垂らすだけの滴下タイプ、一年に一回の注射剤など様々な剤形がある他、回虫などの寄生虫も駆虫できるもの、ノミ予防も一緒にできるものなどもあります。どのフィラリア予防薬を使うかは各動物病院でそれぞれ決めて使用していることと思いますので、薬に関する詳しいことは各動物病院にご相談下さい。

いずれにせよ、皆さんのワンちゃんが今年もフィラリアの魔の手から確実に逃れられるよう、忘れずしっかり予防をしてあげてください。

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